1枚の銅板からできる器の魅力を感じてほしい
鎚起銅器職人「大橋保隆」

今回のインタビューは、鎚起銅器職人の大橋保隆さんです。

インタビューして感じたのは、「この人は想像通りの職人だ」ということ。

「鎚起銅器って何?」っていう人もいるかもしれませんが、ものを見ると「えっ!?何これ!?」ってなること間違いなしです。

こだわりとともに、鎚起銅器ってどんなものかも知ってもらえると嬉しいです。

 

一枚の銅板からできる器の魅力を感じてほしい

「鎚起銅器という一枚の銅板を叩いて器を作ることをやっています。

20年前から鎚起銅器職人をしていて、今は独立をして10年になります。

独立する前は玉川堂で職人をしていました。

父も玉川堂で職人をやっていました。

父も鎚起銅器職人で、父と同じ道に進んだ形になります。

小さい頃から工場にはよく遊びに行っていて、父や他の職人さんが鎚起銅器を作っているのをよく見ていました。

小さい時は鎚起銅器を作ってはいませんでしたが、当時から父の姿がかっこいいと思っていました。

 

銅はすごくしなやかで粘り気がある材料なので、手作業で作る元としては扱いやすい金属です。

一番の銅板を叩いて人の力だけで形を作るので、その点は魅力だと思っています。」

 

燕三条地域は職人の町ではあるんですが、工場まで遊びに行ける環境ってうらやましい。

鎚起銅器は銅板を叩いて作る器ですが、職人が作るものはやっぱり美しい。

そんな技術がある日本に生まれて、ホントよかったと思います。

 

 

鎚起銅器を知らない方に、どんなものがよく売れるか教えていただきました。

 

「鎚起銅器で売れるものは、鍋や湯沸しが多いです。

あとはカップですね。

銅は熱伝導性が高いので、鍋などにするといいんです。

新潟市にある風花さんで、私の作品を使ってお酒を提供してくれています。」

 

鎚起銅器でお酒を提供してくれるところもあるんですね。

食器の口当たりがいいと、お酒も美味しくなりますよね。

今度、風花さんに行ってみようかな。

 

鎚起銅器を作るときの全体の流れが好き

「手作業で全部作っているのがこだわりです。

銅板は四角い材料を丸く切って、材料にします。

銅板を切ったら、あとは単純作業なんでひたすら叩くだけです。

 

作るものによるんですが、思うようなものに仕上げられるようになるにはやっぱり時間はかかります。

湯沸かしで10年以上は必要になりますし、カップを作れるようになったのも4年くらいかかったと思います。」

 

やっぱり、こういう職人って思うような作品を作れるようになるまで時間がかかるんですね。

今から鎚起銅器職人になろうと思ったら、カップ作れるようになる前に40歳を越えてしまう。。。

職人の道は、長く険しいものなんですね。

 

 

 

 

「定期的に講座もやっているんです。

講座では小皿や盃などを作ってもらっています。

あとは、銅なべ作りも講座でやっています。

鎚起銅器はその名の通り、器がメインです。

一般的に99%銅のものを使っています。

道具は、先輩から譲り受けたり、もし合うものがなければ自分で作ったりしています。

まぁ、先輩から譲り受けたものが多いですね。

器の形によって使い分けるので、新しい器を作るときには新しい道具を作るときがあります。

大きさだったり、丸みだったりが違います。

やってる人が見れば、だいぶ違うものだというのもわかると思います。」

 

「こだわりですか?

こだわりについてはあんまり考えたことがないです。

ひたすら叩くってことくらいですかね?

叩くのが特別好きっていうわけではないんですが、全体の流れが好きなので、そういう意味では叩くのも好きなのかもしれないです。」

 

言葉少なく、淡々とインタビューの質問に答えてくれるところは、まさに職人って感じです。

大橋さんは、「The 職人」なので、こだわりをこだわりとも思っていないのかも。

個人的には、こだわりがないとここまで美しいものって作れないと思います。

職人の凄さは伝わるかもしれないけれど、大橋さんの魅力って伝わっているかなぁ。

 

実際に手に取って興味を持っていただけるのが嬉しい

「お客様が手に取って、使ってくれるのが嬉しいですね。

あとは、何年か経って、使ってくれていたものを見せてくれるのは嬉しいです。

 

持ってきてくれたものは、色が成長しています。

一度形が決まってしまえば、落としてしまったりぶつけてしまわない限りは、形が変わることはほぼないのが特徴なんですが、メンテナンスをすることは可能です。

展示会をやるのは、新潟、群馬、長野、福島くらいですかね。」

 

職人さんが作った作品は決して安いものではないので、手にとって確認できる機会があれば、是非とも手にとっていただけたらと思います。

そして、新潟で作られたものが全国、そして世界へ広がっていくといいなあと思っています。

 

 

仕事を覚えるまでは大変
夜に自分の作品を作る日々の繰り返しでした

「職人としては一般的かもしれませんが、暑さ、寒さだったり冷たい水を扱わなければいけないのが苦労ですかね。」

 

確かに職人としては一般的かもしれませんが、それ、普通じゃないです。。。

普通の家では冬でも蛇口をひねれば暖かいお湯がでてきますし、エアコンをかけて温度調節もできます。

私の仕事はどっちかというとエアコンが効いたところでやることが多いので、恵まれた環境なんでしょうね。

 

「繊細なものを作るときは時間かかりますし、仕事を覚えるまでは大変です。

幸いにも玉川堂に入らせてもらったので、そこで仕事を覚えることができました。

何をして一人前と呼ぶかは違うんですけど、銅板を叩かせてもらえるまでに3年くらいかかります。

それまでは下仕事だけです。

自分で勉強して、自分の仕事をやって、それが終わったら夜に自分の作品を作るっていう毎日でしたね。

とにかく練習の繰り返しでした。

 

湯沸かしだと1週間から10日くらいかかりますね。

短時間で作れるものは、ぐい呑みや盃で2時間くらいあれば作れます。

その工程は、銅を切るところから叩いて磨くところまで全部です。

材料を切って、焼きなましと呼ばれるバーナーで柔らかくして、形を作って、叩いて、スズをひいて、ヤスリで整えて、仕上げる感じですかね。」

 

工程もいろいろあるし、下積みも大変なんですね。

大橋さんの作業風景が見れる動画がありました。

どんな工程があるのか、興味がある方はこちらもご覧ください。

 

 

「ひたすら1人で作っているときは楽しいです。

外に出てお客様と話をしているのも楽しいんですが、どちらかというと集中して作品作りに没頭できるときの方が楽しいです。

形は基本的に作り方が同じなので、『どの形が好き』っていうのはありません。

 

失敗は形が失敗したらやり直しですけど、それは苦労と思っていないかもしれないです。

仕事がもらえるようになるまでは苦労しました。

すぐに仕事はいただけてはいたんですけど、広がるまでは時間がかかりました。

人を紹介してもらったり、口コミで広がっていきました。

紹介していただけたのは助かりました。」

 

ひたすらに作り続けた結果、口コミで広がって、仕事になっていったんだと思います。

でも、本当に作品を作るのが好きなんだなぁというのが伝わってきます。

大橋さんのそういったところが好きな人が、大橋さんの作品を気に入って買っていってくれるんだろうと思います。

 

 

 

多くの方に鎚起銅器を知ってほしい

「今、銅鍋や盃や小皿なんかを体験会で作ってもらっているんですが、たくさんの方に体験していただきたいと思います。

体験会は、月1回ものづくり学校さんでやっています。

体験会に参加してくれる方は、三条市内はもちろん、新潟市内や首都圏から来られている方もいらっしゃいます。

鎚起銅器体験は、Facebookや三条ものづくり学校さんのホームページなどでで告知しています。」

 

三条ものづくり学校での体験は、定期的にやっているので一番参加しやすいと思います。

10時から16時、銅鍋の場合は材料費込みで12,000円です。

最大8名、道具は全部大橋さんの方で準備していただけるそうです。

体験会では、大橋さんが作ったものも持って行っているそうなので、ここでもどんなものなのか確認できます。

 

銅鍋づくり体験 in 三条 9/17(日)

銅鍋づくり体験 in 三条 10/14(土)

銅鍋づくり体験 in 三条 10/15(日)

 

「個人的には、今後、大きなワインクーラーとかは作ってみたいですかね。

それ以外のところでは、基本的にお客様の要望で作っているので、お客様の要望に応えられるように腕を磨きたいです。」

 

 

 

「人間の手だけでこんなものが作れるんだ」っていう技術を見て、いろいろ感じてほしい

「鎚起銅器は一枚の銅板を叩いて形を作る、珍しい作り方をします。

単純な作業なんですけど、人間の手だけでこんなものが作れるんだっていうのを感じてもらえればと思います。」

 

作品はホームページから確認することができます。

ストックもいくつかあるそうなんですが、基本的にオーダーが多いそうです。

どうしても手にとって確認したい方は、展示会に行っていただくのが一番かなぁと思います。

その場で購入することもできるので、是非とも足を運んでください。

 

 

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関連リンク

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山後マサキ

1980年5月生まれ。新潟県出身。
サラリーマン時代、システムエンジニアとしてシステム導入やサポートのため全国を飛び回る。
現在は「新潟発!地方発!カッコいい自分になろう!」をコンセプトに活動中。