新潟県の燕三条地域といえば、全国的にも有名な職人の町。
そんな中で、鉄とステンレスを黒染めによる表面加工を行なっている株式会社テーエムの渡辺竜海代表取締役にインタビューさせていただきました。
黒染めのメリットは「錆びにくい」「高級感がでる」「反射を抑制できる」
「普通の人には馴染みがないかもしれませんが、黒染めとは鉄やステンレスの表面を加工処理して黒くする技術です。
黒くすることで『錆びにくくなる』『高級感が出る』『反射を抑えられる』といった利点があります。」と黒染めのメリットを教えてくれました。
「黒染めは、正確に言うと黒く着色するのではなく、黒錆で表面を覆います。
すでに錆させているので、赤錆によって鉄が劣化するのを防ぐことができます。
寸法もほぼ変わらないので、作業器具や機械部品に向いています。」

「5年ほど前からステンレスの黒染めもはじめました。
ステンレスの黒染めは全国的にやっているところも少ないので、ほとんどの人に知られていないのが現状です。
今はステンレスの黒染めについても、多くの人に知ってもらいたいですね。」と渡辺さんは言います。
鉄やステンレスを黒染めした工具や食器などをいくつか見せていただきましたが、どれも高級感がありました。
渋くてカッコいい工具は、男の憧れでもあります。
こだわりのある工具を、こだわりのある職人さんに加工してもらうと、思い入れも特別なものになります。
以下にテーエムさんが作った工具や食器の写真を掲載していますので、お楽しみに。
お客様に喜んでもらえることが第一
そのために、私たちに何ができるかを常に考えています
「常に意識しているのは『どうしたらお客様が喜んでくれるか』を考えることです」と渡辺さんは言います。
「以前、『おじいちゃんの形見の鉈(なた)を黒染めしてほしい』と言ってきた方がいました。
表面の錆をとって黒染めしたものをお渡ししたら、とても喜んでくれました。
黒染めは表面を加工しているので、赤錆を防止する効果があります。
鉄の道具を長期保存したい場合などには、黒染めはオススメです。」

「燕三条は全国的に知られた職人の町です。
だからこそ、自分が使う道具にこだわりを持っている方がたくさんいます。
道具にこだわりがある職人さんの中には、黒染め品を好んで使われる方がいます。
そういう人たちから黒染めしてほしいと言われることは多くありますね。」
職人の町だからこそ、道具のこだわりがある人はとても多いそうです。
「スパナや万力などを黒く染めることもあります。
そういう人たちに喜んでもらえると、とても嬉しいです。」
そんなこだわりがある職人さんに向けて、今日も製品の黒染めを行なっています。
ステンレスの黒染めはまだまだ知られていない技術
だからこそ、ステンレスの黒染めをもっと多くの人に知ってもらいたい
「現在、ステンレスの黒染めを知ってもらうために、自社製品を開発中です。」と渡辺さんは現在の会社の取り組みについて教えてくれました。
「新潟といえば日本酒が有名です。
だから、ぐい呑みを作ってみました(笑)」と黒染めしたステンレス製のぐい呑みを見せてくれました。
表面を黒染めして、さらに木箱にいれられているぐい呑みはとても高級感に溢れていました。
ステンレス製のタンブラーはありますが、ステンレス製で かつ 黒染めしたぐい呑みはとてもカッコいい仕上がりになっています。
「まずは自社製品を通じて、多くの方にステンレスの黒染めについて知ってもらいたいです。
興味を持たれた方がいたら、当社までご連絡ください。」

「日本国内の展示会に出展すると、ステンレスの黒染めに興味を持っていただけることは多いです。
鉄の黒染めは比較的どこでもある技術ですが、ステンレスの黒染めは珍しいので。
黒染めを知っている人ほどステンレスは錆びにくいことを知っていることが多いので、展示会でも興味を持ってくださる方は多いですね。」と渡辺さんは言います。
「今は、鉄の黒染めは新潟県内の燕三条地域が多いですが、ステンレスの黒染めは県外の方が多いですね。
あと、以前バンコクで展示したときは、ドイツやロシアなどのバイヤーさんに興味を持ってもらいました。
ヨーロッパでも日本の技術は非常に有名ですからね。
でも、輸送費などさまざまな要因があって、そのときは外国との取引を行うことはできませんでした。
日本の企業で海外と取引があるような企業様がいたら、協力して外国にも日本の技術を紹介していきたいです。」と今後の夢を語ってくれました。
もし、海外と取引をしていて、日本の技術をさらに紹介していきたいという企業様がいたら、テーエムさんに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
人間関係に困っていたとき、中谷彰宏さんの本との出会い
積極的に意見を伝えるように心がけた
テーエムは昭和35年創業で歴史ある会社であるにも関わらず、平均年齢30歳と非常に若い会社です。
そんなに若い従業員を抱えている渡辺さんに苦労したときのお話をうかがいました。
「以前、人間関係に悩んでいた時期がありました。
もともと人数が多い会社ではないので世代交代の苦労はそれほどありませんでしたが、その分、個人に依存することが多かったんです。
それでも、当時から私が一番長く勤めていたので、何かあったときには相談に乗るようにしていました。
そのときの自分は『自分はここまでやってあげているのに、どうして周囲の人たちは自分がやってほしいことを返してくれないのだろう』と考えていましたね。
ある日本屋に立ち寄ったときに、中谷彰宏さんの本を見つけて、読んでみたところ、考え方が変わりました。
ここに書かれていたことはまさに自分が悩んでいたことだったんです。」と渡辺さんは語ってくれました。
「この本を読んでから、考え方が変わりました。
本を読んでから、社員に対して自分の意見を積極的に伝えることを心がけました。
中には意見が合わず会社を去っていった人もいましたが、今では私の意見が会社に浸透して、とてもいい職場環境になっています。」
苦労を乗り越え、会社の人間関係も改善させた渡辺さん。
本好きの私としては、そのときに渡辺さんが読んだ本のタイトルが気になります。
今度、本のタイトルを教えてくださーーい(笑)

大切にしているのはコミュニケーション
社員の笑顔を大切にしていきたい
「お客様に喜んでもらえたときはもちろんですが、社員が笑顔でいるときは嬉しいですね。」と語る渡辺さん。
「苦労していたときとは比べ物にならないくらいコミュニケーションの回数は増やしました。
例えば、普段の声がけであったり、ちょっとした時間に2人で話をしてみたりといったことです。
その甲斐があって、今では非常に仲良く仕事ができています。」

「今は仕事以外でのコミュニケーションも非常に大切にしています。
以前は忘年会をやったから新年会はやらない、といったこともありましたが、今は忘年会・新年会・夏忘れは必ずやっています。
コミュニケーションの機会を増やすことで、仕事が円滑にできていることも多いと思います。」
人間関係で苦労していた渡辺さんだからこそ、人一倍コミュニケーションを大切にしているのが伝わってきました。
インタビューさせていただいたときも、テーエムの社員さんから先に挨拶をしていただいて、とても清々しい気分になりました。
このような環境は、働いていても楽しいと思います。
お願いすれば工場見学もさせていただけるので、興味のある方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。
黒染めのサンプルも即座に対応。1つからでも対応します。
黒染めに興味がある人はメッセージください
「黒染めした後、どのようなものができるかわからない人も多いと思います。
なので、当社ではサンプルに黒染めしたものをご覧いただきながら、ご要望に合った色に対応いたします。」
現在は鉄の黒染めが中心ですが、今後はステンレスの黒染めも積極的に紹介していきたいと語る渡辺さん。
「ステンレスの黒染めは、全国的にもやっているところが少ないので、まだまだ気づいていない可能性がたくさんあると思います。
『こんなものに使えるだろうか』という相談にもお答えします。
黒染めに興味が出てきた方は、是非ともご連絡ください。」

「個人で注文したい方は『表面処理.com』というサイトからお問い合わせいただけます。
このサイトにお問い合わせいただくと、1人の担当者と打ち合わせを行っていただけるため、何度も同じことを伝えるなど、煩雑な作業がなくなります。
もし、個人で黒染めに興味を持って、何かを染めてほしいという方がいらしたら、こちらにお問い合わせください。」
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